2022年2月4日金曜日

サブリース物件売買での常識や否や⁉白黒つけましょ!!

今や何でもかんでも投資対象となり得る時代ですが、不動産投資も長期の低金利時代を背景に、比較的手軽に始められる投資として支持されています。
中でもサブリース方式と言って、アパート一棟をまるごと賃貸し、空室が発生しても一定の固定賃料を保証してくれる契約方式が、年配資産家を中心に人気を博しています。空室リスクをサブリース業者が負担するので、当然賃料収入は個別賃貸する場合より少なくなりますが、ほぼ任せっきりで固定額を安心して受け取れることが最大の魅力です。条件の良い物件で、大体85%~80%が借上げ賃料相場かと思います。半面、入退去期間の空室損失(入居が決まるまでの空室期間と、募集の際に掛かる仲介料1ヶ月+広告料1ヶ月)は負担しなくても良いので、個人的には実質的収支は個別賃貸と大して変わらないのではないかと考えています。ただし、募集条件を良くするために、建物の維持修繕工事や設備器具(エアコン、Wifi、宅配ボックス等)の充実を求められますので、その物件の競争力を見定めながら実施の要否を判断していく必要があります。

さて、サブリース方式の欠点でよく耳にするのが、契約更新(通常2年)毎の借上げ賃料の値下げです。不良業者は別として、これはある意味やむを得ない事情と言えます。一般的に築年数が経過する程、物件の競争力は落ちますので賃料を下げて応戦します。下げたくない場合は、上記のように維持修繕工事や設備器具の充実で対抗することになります。
今回、私が白黒つけたいのは、このサブリース物件を売却あるいは購入する際の「告知情報」についてです。その中でも入居者に関する滞納情報の告知義務について、明確にしたいと思っています。
いわゆる事故物件(自殺者が居た、反社会的勢力が居る等)は当然に告知義務がありますが、滞納者については明確にされていません。購入する側にとっては収益に直結する重要事項ですので、当然売主側に確認するのですが、サブリース方式の物件の場合、賃料収集状況は業者が全て管理しており売主(オーナー)は把握していません。業者の基本スタンスは、「具体的に滞納者の有無をオーナー等から確認されない限り、積極的に業者からは情報提供しない。」というものです。つまり、滞納損失は業者が負担しているので、オーナーに報告する義務はないという理由です。
一般的に長期の賃料滞納者は稀ですが、数ヶ月程度の滞納者は結構多く存在します。賃料の安い物件ほどその傾向は強いです。不動産投資の入口として、比較的低価格(=低賃料)物件は投資対象になり易いので、購入する場合はこの滞納者有無を予め把握することがとても重要です。残念ながら滞納に関しては業界や行政からの告知ガイドラインは現状では存在せず、「白黒がはっきりしない業者任せ」の状況にあります。

実は私もこの問題に直面しており、『買主-売主(私)-サブリース業者』という立場です。滞納者が居ることを知らず(業者から知らされず)に買主に売却してしまい、買主から訴訟を起こされました。物件を売買する際、通常はレントロール(入居状況や各戸の賃料一覧が明示される資料)と入居者からの賃料入金状況が分かる振込明細書を管理会社から入手すれば足りるのですが、サブリース業者からは入居者からの個別振込の明細は明示されません。つまり、レントロールや振込明細書の提出を求めるだけではだめで、具体的に「滞納者はいるか?」と確認しない限り滞納情報は出さないというのが、どうも今の業界の常識のようです。

本件では、サブリース業者の責任を明確にするため、「訴訟告知」という手法を取り入れました。通常、訴訟は原告と被告のみで争いますが、第三者にも責任を追及する場合にこの手法を活用できます。裁判に半強制的に参加させるというものですね。私としては、消費者ファーストの健全な不動産取引を推進していくためにも、納得の出来ない「業界の常識」に対しては、毅然と対処していくつもりでいます。願わくば、本件訴訟を通じて滞納者告知義務の判例か、あるいは業界からのガイドラインが出れば良いと考えています。相手は大手ハウスメーカー系列ですので、影響は大きいと思います。
大手=安心ではありません。皆さんも不動産投資をする場合にはご注意ください。<`ヘ´>

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